学校で授業を受けている時、職場で仕事をしている時、
猛烈に絵を描きたくなりませんか?
「あんな絵を描こう いやこんな絵もいいな」
想像力をフルに発揮し、果てには絵の完成イメージまで脳内でできてしまうことも。
しかし帰宅してみると不思議なことにそれまでに抱いていた
絵のイメージややる気は霧散してしまい気付けばゲームを起動してしまう…
こんな経験はないでしょうか?
いや、きっとあるはずです。間違いありません。そうでしょう?
先の例は一貫性のない行動のように思えますが、
実は心理学的に同一の理由による行動パターンなのです。
お絵描き時、こういったやる気の消失は致命的な問題となります。
本記事ではこのやる気が失われる理由やその対策方法について解説します。
この記事を読むことで、
いざ絵を描く時にやる気が霧散してしまうという問題を解決する方法を知り、
結果として絵を安定して描くことのできる精神状態を手に入れることができます。
是非最後まで目を通してみてください。
■やる気は減点法
2つの「思考モード」とお絵描き
心理学に二重過程理論というものがあります。
脳は思考する際、2つのモードがあるとする理論で2000年に心理学者のKeith Stanovich、Richard West両氏が発表した論文に基づいています。
モードの1つ目は「行動モード」とも呼ばれ、行動を伴う思考の際に働く思考プロセスです。
お絵描きをしている時はこちらのモードになっています。
2つ目のモードは「熟考モード」とよも呼ばれ、数学的計算など思考にのみ集中している際にはたらくプロセスです。
「行動モード」の特徴
絵を描く際に働く「行動モード」ですが、このモードは次のような特徴があります。
・高速かつ自動的にはたらき、意識的に止めることはできない
・印象を感じたり、連想したりするのが得意
つまり絵を描いている時の思考モードは絶えず様々なことを想像し、連想しているのです。
そして、お絵描きよりも欲求度の高い行動に到達した時、お絵描きを中断しほかごとを始めてしまいます。
YouTubeでお気に入りのゲーム音楽をBGMとして聴いているあなたは非常に危険な状況です。もし今無意識にやりたいと思っているゲームの音楽が流れ始めた途端、お絵描きそっちのけでゲームを楽しくプレイする想像をしてしまうことでしょう。
そしてついにはお絵描きを中断し、ゲームを開始してしまいます。
これではいけません。ではどうすればよいのでしょうか?
環境を整えることで邪念を排除する
結論、連想のカギになるものを極力意識しないで済む環境に身を置くのが良いでしょう。
Twitterは閉じ、スマホは目の届かない場所に置き、Webブラウザを開く必要がないよう資料を事前に集めておくのです。
環境を整えてしまえば、絵を描き始めさえすれば後は止まることがありません。
満点のやる気を減点する要因は排除されました。
あとはより良い絵がかけるよう手を動かすだけです。
また、お絵描き中に作業を中断させようとする力として、ストレスの存在があります。
次項ではストレスについて考えてみましょう。
■ストレスは逃避行動を生む
人は行動に対するストレスを感じた時、回避行動をとることがあります。
強い意志をもってこれを打破することも可能ですが、最終的な意思決定を精神力に求めることは万人が行えることではなく、方法論としてはナンセンスです。
ではストレスに対し、どのように対処すべきなのでしょうか。
ストレスの原因を認識し、排除しよう
ストレスをなくす、あるいは軽減するのが最も効果的な方法です。
では、絵を描く時にストレスを感じる要因は何でしょうか?
これは様々あると思います。
・絵の完成イメージが湧かない
・以前描いた絵よりクオリティが下がってしまいそうで怖い
・資料収集が億劫
・人に見られる、音がうるさいなど、外部環境が良くない 等々
大事なことは、ストレスに対し自覚的になることです。
多くの場合ストレスへの逃避が発生するため、ストレスの原因を分析することはあまりなされないような気がします。
まずはストレスに自覚的になり、その原因を解決することでストレスを解消していきましょう。
ストレス原因を解消する、具体的な行動例
絵の完成イメージが湧かない
例えば「絵の完成イメージが湧かない」というストレスを自覚できた場合、お絵描きの工程を明確にすることでこのストレスを解消することができるかもしれません。
この方法については、イラストレーターのさいとうなおき先生が丁寧に解説されている動画がYouTubeにアップされているので紹介します。
以前描いた絵よりクオリティが下がってしまいそうで怖い
「以前描いた絵よりクオリティが下がってしまいそうで怖い」というストレスは、実は自分そのものに原因があるのではなく、人間の脳の働きによるものである可能性があります。
インポスター症候群は自分の評価が不当に高いものとなっているという認識を持ってしまうことであり、その結果現状の評価に対し自分は劣っていると思い込んでしまう現象のことです。
(症候群という名前がついていますが、命名者本人も後年この命名は誤りでインポスター体験とすべきだったとしています)
リンク Wikipedia:インポスター症候群
つまり、自分の前回の絵を超えない可能性があると考えてしまうことは脳の作用によるものであり、本質的な問題ではないと認識することでストレスでなくなるというロジックです。
ストレスを解消するタイミング
このように、ストレスへの対処法は少しの行動で可能である場合が多く、非常に効果的であることが多いので、絵を描く前、あるいは日常的に行うことをお勧めします。
これであなたは絵を描き始めればやる気を失わずに済むようになったはずです。
しかし根本的な問題が残っています。
そもそも絵を描く気自体が起きないという問題です。これは大問題です。
次項ではこの問題について考えてみましょう。
■そもそもやる気というものは存在しない?
東大の脳科学者 池谷裕二氏は「やる気」という言葉は、「やる気」のない人間によって創作された虚構 であると述べています。
リンク:「簡単にやる気を出す方法を教えてください!」→脳研究者「やる気なんて存在しない」
つまり、行動を起こす前のやる気というものは実際には存在しなく、先に行動があるのみである ということです。
つまり重要なことは、あれこれ考える前にまず行動することなのです。
小さな行動を積み重ねよう(できれば無意識で)
お絵描きの場合、紙と鉛筆を用意する、お絵描きソフトを立ち上げることが重要です。
最初から複雑な工程をイメージすると、前項で説明した通りそれ自体がストレスとなり、
結果逃避行動をとってしまうことにつながります。
小さな行動で十分です。
小さな行動が出来たら、もう一度小さな行動を行いましょう。
5回も繰り返せばおそらく「存在しないやる気」が生まれ始めていることでしょう。
■まとめ
やる気というものは実は非常にあいまいな存在で、むしろ考えるべきは行動を阻害する要因であるということが分かって頂けたのではないでしょうか?
最初に例に出した学校や会社では絵のやる気がある、という状態は実は
授業や仕事からの逃避に過ぎないものであることはとても残念で悲しい話ですが、
今回の記事を参考に、お絵描きを行う環境を整えていきましょう!
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